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人生はローリングストーンのsonozyのレビュー・感想・評価

人生はローリングストーン(2015年製作の映画)
3.5
アメリカの作家デヴィッド・フォスター・ウォレスが1,000ページを超える大作「Infinite Jest」を発表し注目を集めた頃(1996)、音楽雑誌「ローリング・ストーン」の若手記者デヴィッド・リプスキーが彼の記事を書くため上司を説得し、密着インタビュー取材を行った5日間の物語。(実話がベース)

まず、ここにあるジャケ写も邦題も雑誌「Rolling Stone」テイスト寄せすぎで内容に対して違和感大ですね。笑
IMDbとかにある方がしっくりきます。
https://www.imdb.com/title/tt3416744/

オープニングは2008年、ウォレスが自殺で亡くなり、リプスキーが弔文を語るシーンから。

12年前の1996年。
ウォレス(ジェイソン・シーゲル)の自宅のあるイリノイ州に向かうリプスキー(ジェシー・アイゼンバーグ)。
広大な雪原の中に建つ自宅で、黒い2匹の大型犬と共にロン毛にバンダナ姿で現れたウォレスは警戒心はあるものの好印象で、早速テープを回しながら取材を始める。

当時、ウォレスが34歳、リプスキーは30歳。
ウォレスもリプスキーを気に入った様子で、モーテルでなく使ってない部屋に泊まれと勧める。
コンビニでソーダやジャンクフードを仕入れ、タバコを吸いながら、バンダナの件、壁に貼ってあるアラニス・モリセットのポスターの件、過去の酷いバイト…etc 取材を重ねていく。

本のプロモーションのため、ミネアポリス・セントポールに運転を交代しながら向かう2人。
ウォレスの友人の女性2人(評論家のジュリーと、大学時代の元カノ・ベッツィ)と合流し4人で食事したり、「モール・オブ・アメリカ」で映画『ブロークン・アロー』を観たり・・・

徐々に心を開くウォレスは、人気を集めるほどに自身の才能に苦悩すること、28歳の頃、うつ病で自殺しそうになり入院した経験…などを語る。

ベッツィに関する件で、ギクシャクもありつつ、心の交流を深めた5日間を終え、リプスキーはNYへ戻り、執筆を始める。。

5日目にリプスキーが帰る前に「実は..最近、教会に集まって皆で自由にディスコダンスを踊るのにハマってるんだ…」と伝えるウォレスがなんとも微笑ましい。

2人の会話が中心の地味な作品ですが、この2人の配役が絶妙で、そのやり取りが静かに沁みる良作でした。

※映画には出てきませんが、リプスキーは「ローリング・ストーン」誌に取材記事は載せず、2010年に著作「Although Of Course You End Up Becoming Yourself: A Road Trip with David Foster Wallace」として発表し人気を集めたようです。
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