JunIwaoka

エール!のJunIwaokaのレビュー・感想・評価

エール!(2014年製作の映画)
3.0
2015.11.1 @ ヒューマントラストシネマ有楽町

もはや年齢のせいかもしれないけれど、家族(特に親子ものの)映画には問答無用で泣かされる。こちらも例外なく、涙で目が潤むとかいうレベルではなく、手元のハンカチ(用意周到でしょ!)で何度も溢れる涙を拭った。じゃあすげーいい映画だったかというと全然そうではないというか、仕事の都合でフランス映画祭の上映を見逃して、評判がよかっただけに期待が大きかったせいか、少しガッカリした。
冒頭からThe Ting Tingsの懐メロソングで軽快に飛ばすように、フランス人が憂うのをやめ、皮肉もなく超どストレートな王道ハートフルコメディにしたことにまず驚いた。直前まで一癖も二癖も三癖もある映画ばっかり観ていたので、冒頭こそ心地よいなと思いつつも、結局物足りなさを感じてしまった。
それはろう者の社会との関わり方を、子供が親元から自立し成長する過程で親近感わくように描いていたのはよかっけれど、一家のコミュニケーションの役割を一手に担う娘から、娘離れ出来ていないままエンドロールでいいのそれで?大丈夫なの?と戸惑った。映画は娯楽なのでこういう映画はハッピーエンドならオッケーなんだけど、そこがテーマアップされていただけに残念だったかな。
特別よかったのはエリック・エルモスニーノが先生役だったところで、彼が励ますシーンがとてもいい。どうして彼はいつも(とくに"あの夏の子供たち"ね)不安を胸に感じている女の子の心を支えてあげられるんでしょーね。グッときちゃった。なので感動のラストは言うことなしで、これこそSong for the Deafでした。審査員の一言も気が利いてよかったです。
JunIwaoka

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