チョマサ

黒衣の刺客のチョマサのネタバレレビュー・内容・結末

黒衣の刺客(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ホウ・シャオシェン監督は初めて見る。
これに限って言うと、一回目は40分くらい寝て、2回目も20分くらい序盤で寝た。つまらないから寝るというよりも、座って話す場面と、だれも喋らない遠景の場面が多くて、刺激が少ないために寝ちゃうんだよ。

かといってつまらないとは思わないし、エンタメ作品でもないと思う。5年も時間をかけて作る映画なんて、たいてい作品として撮っている映画がほとんどだろう。人に見せることを想定してない気もする。でも、映像は統一されていて、完成されてる。

お話自体もウィキペディアや公式サイトの人物相関図を見ると、そこまで難しい話でもない。劇中でセリフとしてどういうことか説明してる場面もある。でも、登場人物の顔が区別つかないのと、さっきみたいに寝てしまうので、そのせいで難解とレビューしてる人が多いんだと思う。

原作は唐の時代の伝奇で、10数ページの短編らしい。まだ読んでない。この原作と、劇中にも登場する故事を基にしてるらしい。

物語自体は、暗殺者として生きられない女が、遣唐使として来た鏡磨きの青年と出会うことで、別の生きる道を見つけるというもの。それを青い鳥の故事と重ねてる。そのなかで師匠と対立したり昔の許嫁を助けたりしてる。

一番の見どころは映像で、田季安の奥さんを人形で呪う場面は、夜の社殿の美しさがたまらない。最後に師匠と出会う場面なんかは冒頭の「術は成るが、心が成ってない」といったニュアンスの台詞を繰り返すことで、意味が変わってきていいのもあるが、それよりも雲がこの場面の間に背景の山を白く覆って見えなくしてしまうところや、西部劇のグランドキャニオンみたいな背景もすばらしい。

荻野洋一さんのブログで、この時代の考証の良さなども語られていた。

見所はあるんだけど、見てて寝てしまうくらい刺激が少ないのがもったいなかったな。
チョマサ

チョマサ