つばさみのるた

スター・ウォーズ/最後のジェダイのつばさみのるたのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

《基本ネタばらししちゃいますので未見の方は見ないでね。》

3部作の真ん中は大きく物語が転換を迎える衝撃なのは'帝国の逆襲'でも素晴らしかった。そんな前振りは一切ネタバレしないプロモーションでもしっかりなされ、ロゴさえも初めて赤が使われ、わたしもストーリーの憶測は避けながら期待も膨らんでいました。

その衝撃は、前作からそのまま続くレイがルークにライトセイバーを渡す場面からわたしを襲います。正確にはSW原理主義とも言っていい旧3部作こそ最高と思っている世代の方々を襲ったというべきかな。

オビワンから父のライトセイバーとしてルークに渡され、'帝国の逆襲'で右手と一緒に切捨てられた(クラウドシティのゴミ処理アグノートが3POの残骸同様また見つけたんだと容易に絵が浮かぶ)ライトセイバーはそれなりに神聖なものとしてわたし達には見えていたそれをポイと後ろへ投げ捨てる…ギャグなのか?だとしたら特定のファンにはかなり不愉快に映ったはず。

旧三部作通して"あの"悪の権化だったダースベイダーにさえ善の心が残っていると唯一信じたほどの楽天家ルークが、反乱の仲間も妹も避けて身をくらますほどに追い込まれているはずと当初から思っていて。
…それってダークサイド落ちまでじゃなくても落ちそうになってジェダイの、フォースの危うさを認識したとか考えるのが妥当。
見ず知らずの女の子が突然現れて、父の(ダークサイドに落ちて破滅した)ライトセーバーを携えてきたとして「やぁ!はるばるよく来たね!一緒にジェダイの修行をやるぞ!」ってならないことくらいは想像していました。
演出上のロボットチキンなみの放り投げはたしかに他にもやりようあったかもですけど。

レイアが宇宙空間に漂い、しんみりさせられたあとの展開も…それってあり!?と思った方が多いそう…。でも思い出してください。アステロイドの宇宙ナメクジのお腹の中でもマスク一つでマイノック退治にお出掛けしていた人たちです。そんなの普通に有りです。

フォースを使ってライトセーバーを取寄せるのと同じ要領でクルーザーに念を送れば質量の軽いレイアのほうが近づいていくのは道理なんです。

そんなことできるのかよ!と怒った人たち…SWがSFのパッケージをまとったファンタジーだったことを忘れているのかもしれません。
ただ、故人となったキャリー・フィッシャーを思うとこのまま逝かせてあげたいと思うのもファン心理ですね。

次に問題のレンとレイのスカイプ会話…
こんなに簡単に繋がるのか?

わたしはクラウドシティの底でルークがレイアに助けを呼んだあのシーンを思い出しました。まだこの時点でレイアの出生は明かされていないけど、フォースもこんな使い方はあるんでしょう。というか習得できるヒトも中にはいるって感じかな。

前作でも感じましたが"未完成のヒーローはいたけど、未完成の悪役って新鮮!"なカイロ・レン(ベン)の魅力は今回もたくさん見せ場ありました。

味方にくるの?こないの?どっちに転ぶのかわからない読めなさのスリルは彼ならでは。
マスクをしていてはアダム・ドライバーのウマさが楽しめないので早々に自ら怒りのままに放棄するあたりもダークサイドのキャラを現しています。わたしカイロ・レンのマスクは好きになれませんでしたが心底からは憎みきれないこの悪者キャラクターは大好きです。
レイと一緒に戦うくだりのアクションは見ごたえバッチリでダースモール以来のライトセイバー戦でした。


最後のルークの戦いにもそれってアリ??!となった人が多いそうで。
実際には赤い塩が白い表層から現れる惑星クレートの地面にはルークの足跡は一切現れず、戦っているのではなく惑わせているだけ。

もともと霊体化を習得したのはクワイ・ガンで、話をすることができるからオビ・ワンに彼から教えを乞うようにヨーダから伝えられたのはエピソード3の終盤。以降オビ・ワン、ヨーダとその技は伝えられながら霊体として姿を現わすように洗練されてきたジェダイの技。

で、ルークがさも実体かのように登場する背景も(命とひきかえに) そんな洗練の過程を知っているとその延長上で少しだけ腑に落ちる演出。
ルーク最高です!

まぁ他にも色々とSWの定石を覆す描写演出が出てきたり既存キャラの虐げられた扱い(アクバー提督にこそハイパードライブ特攻をやってもらうべきとか)もたくさんなので、もはやボクらが好きだったスター・ウォーズではないとするヒトがたくさん。

旧3部作世代の皆様は’ジェダイの復讐’(あえて帰還とは言わない)公開以降する事がなくなり、繰り返し繰り返しそれこそ何度となく観かえしたはず…あの頃のループ感から抜け出せるのであれば…新しいSWが観られるのであれば…わたしはそれだけで幸せとするひとりです。

型を破る…大歓迎です。フォースを用いる事のできる若者たちがジェダイという縛りから解かれ今後幅広く活躍するのも賛成。今まではスター・ウォーズ(宇宙の戦争?)っていいながらスカイウォーカー一家とその周辺というせまーい範囲の話でしかなかったのかよ!というちょっとした諦めからも解放されるわけです。

ということで非難も多い本作、わたしは大好きになりました。

12/27はキャリー・フィッシャー、姫の一周忌でした。

彼女の元に安らかなフォースを。