真田ピロシキ

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

3.3
この手の映画はほぼ全て興味を失っていたのですが、今日は暇だし見てもいいかなと思って鑑賞。既にネタバレはいくらか聞いてるのである程度予想をつけて見た。

見終わって率直に思うのはやっぱりマジョリティ向けの映画でしかなかったなあと。否が多めの賛否両論となった前作がポリティカルコレクトネスを強く意識した映画となっていて、当時の私はディズニーをまだ信頼していたので大きなところがそういうメッセージを送る意味を評価してたんですよ。しかし本作では方向転換。誰だってなれると示唆されてたはずのジェダイはレイがパルパティーンの孫と明かされたようにサラブレッドに限定され、一番評価が割れてた気がするローズは出番を大幅カット。流石にジャー・ジャー・ビンクスレベルで存在を抹消されてはいないので公開処刑のように悪口は言いませんが、戦いの終わり頃には皆が異性愛の親しさを匂わせる演出が入れられてて古いハリウッド映画的。レイとフィンとポーの戦友が称え合う姿の方がグッと来るのよね。旧シリーズにおけるルーク、ハン、レイアをなぞらえていて、しかもこの3人と違って恋愛関係がないのは昔よりは先に進めてる訳で、もう一押し欲しかった。

他に気になるのは死の取り扱い。これは私はとてもうるさくて、復活を見たら基本的に茶番と取ります。ジェダイは肉体が滅んでも死ではないと描かれているのでその辺を理解して見たつもりですけど、ルークのフォース掴みはやりすぎて冷めたわーあれだけできるなら肉体いらんやん。お前がもう一回パルパティーン倒しに行けばいいんじゃないの?そのパルパティーンはクローンで今後何度でも後付で黒幕としてリサイクル出来そうで、どうせ完結しないであろうスターウォーズの世界を拡張し続ける。スノークを殺さないで悪役として育てた方が良かったんじゃない?育てる自信がなかったの?

ルークで触れたフォースのパワーもやりすぎ。終盤のパルパティーンは無限のパワー!で上空を飛び交う多くの戦闘機を墜とす。ドラゴンボール世界にでも行った方がいい。レイとカイロ・レンのフォースでの艦を掴み合いもあり、明らかにコイツラだけパワーバランスがおかしい。ジェダイってジャンゴ・フェットが上手くやれば殺せる存在のはずやん。前作を否定してるくせにフォースインフレは引き継いでいるんだよね。ルークの遠隔幻影戦闘も相手してたカイロ・レンが感動したのか会得してて使ってるし。今作ではライトセイバーの転送も出来るようになってて都合良すぎだよ。ガンダムのニュータイプと同じで万能になっていく変わりに演出が幼稚になってつまらなくなってる。最近ボバ・フェットのドラマとかやってるそうだけど、そっちの方が出来る事に制約があって面白そうだから人気も出るんだろうな。

保守的になって後退したとは思いますが単純に映画としてはこっちの方が面白い。「フォースを感じる…草じゃない!」みたいな寒すぎるギャグはなくなってて、小賢しい小動物マスコットも消滅。あのちっこいドロイドはそんな出番もないのでOK。アクションも冒頭のカイロ・レン無双や砂漠でのトルーパー追撃などは記憶に残っている。特にトルーパーは万能ジェダイがどっちらけだったので、ビークルに乗ったりジェットパックでチクチク攻めるバリエーション豊かな活躍には胸が空く思い。フィン以外の元トルーパーキャラも出して目立たせたり、敵のトルーパーにしても女性声が結構な割合で混じってたり(前からだっけ?)ヘルメットの中の顔を感じさせる演出がされてて良かった。カイロ・レンはアダム・ドライバーの憂いを帯びた感じが良くて、私的にはレイより主役はこっちかな。懸念してたほど悪くはなかった。今後続編もスピンオフも見る気はないので自分に取って最後のスターウォーズとしては有終の美とは言わないにしても、それほど跡を濁さずには終わらせられたと言えます。