TOSHI

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けのTOSHIのレビュー・感想・評価

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子供の頃から観ている、壮大なサーガも、遂にフィナーレである。一作目当時、「そんな蛍光灯(ライトセーバー)で戦う映画は観ない」と言っていた、死んだ爺さんも、まさか40年もシリーズが続くとは思わなかっただろう。前作「最後のジェダイ」で、シリーズを貫いて来た、善と悪という単純な対立構造が大きな揺らぎを見せたが、予告編ではレイがダークサイドに落ちたかのような映像があり、どう決着させるのか。そして、明らかにされていないレイの出生が焦点だ。

最初のシリーズの頃に比べると、私の熱量はかなり下がっており、普段、スター・ウォーズについて考える事は殆ど無くなっていたのだが、テーマ曲が鳴り響き、イントロダクションの文字列が流れて行くと、興奮が甦る。

前作のクレイトの戦いから一年後、ファーストオーダーの最高指導者となったレン(アダム・ドライバー)は、銀河中に勢力を拡大している。一方、オーガナ将軍(キャリー・フィッシャー)率いるレジスタンスは、ジャングルの星である惑星エイジャンクロスに、秘密基地を作り、同士を集めて復活している(キャリー・フィッシャーが亡くなったのは3年前だったが、「フォースの覚醒」の映像に、代役の実写を合成する手法で実現したという、彼女の出演場面に感嘆する)。そして前作で師であるルーク(マーク・ハミル)を亡くしたレイ(デイジー・リドリー)は、ジェダイとしての特訓に励んでいる。
古代のシスの起源を知りパワーを得ようとするレンは、レイとのフォースコンタクトで、シスの要塞がある、惑星エクセゴルの存在を知り、手に入れたウェイ・ファウンダーで、場所を突き止め訪れるが、そこには…。

シリーズ一番の異色作となった前作(私は支持する)のトーンを緩やかに修正し、直近3部作を完結させ、更に全9部作を完結させるという極めてハードルの高い目標が設定されている訳だが、J.J.エイブラムス監督は、やり遂げたと言って良いのではないか。3つのシリーズのファンを全員満足させる事など不可能だが、伏線の回収、謎の解決と最大公約数的に、納得できる物になっている。レイの出生も、言われてみればそれしかないと思わせられた。一作目の監督であるジョージ・ルーカスが、どこまで構想していたのか分からないが、ストーリーは見事に完結している。戦闘シーンも良く、出て来る筈が無い、シリーズの主要登場人物が何人も出て来るのも嬉しい。
エンディングが素晴らしい。いつもの大団円の画で終わるのかと思えば異なり、長いスカイウォーカー家の物語を締めくくり、希望を示す、震えが来るようなショットに、思わず拍手してしまいそうになった。

マーチン・スコセッシ監督がマーベル作品を、「あれは映画じゃない。近いのはテーマパーク」と批判して物議を醸したが、本シリーズもテーマパークのような映画ではある。しかしスター・ウォーズがマーベル作品と異なるのは、スコセッシ監督の批判の根拠である、「他者の感情や心に訴えかけようとする映画ではない」という部分にあるだろう。表面的には戦闘シーンが突出するものの、あくまでも、長く物語を紡ぐ事で、人の感情や心に訴えようとする映画なのだ。それ故に、これ程までに長く、多くの人に愛されて来たのだろう。
キャラクターが刷新されるらしい新たなシリーズも気になるが、今はとにかく、この長い物語の、完結の余韻に浸りたい。

私の年内のレヴューは、以上となります。
年間ベスト3を、コメント欄に記載しました。来年も良い映画を探して、レヴューしたいと思いますので、よろしくお願いします。皆さま、良いお年をお迎えください。
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