パケ写の雰囲気から「ALWAYS 三丁目の夕日」みたいな和み系をイメージしていたら、朝鮮戦争やベトナム戦争の時代を生き抜いた老爺の生涯を描いたドラマティックで辛口な作品で驚いた。
主演はファン・ジョンミンで、子供時代を除いて全ての時代を彼1人で演じている。冒頭は現代の釜山から始まり、そこから回想シーンとして彼の故郷である北朝鮮の戦時下の話へと繋がっていく。老爺が何故足を引きずっているのか、何故自分の店を営業し続ける事に拘るのかを、朝鮮半島の歴史を振り返る形で炙り出していく、とてもスケールの大きい作品だ。
俳優陣の熱い演技や、戦争当時を描いたダイナミックな映像等、総じて韓国映画の勢いを感じさせる。60年に渡る長い時間の流れを描いているのに、どの時代のシーンにも見所があるのも、実は凄い事なのではないか。街の景色の移り変わりや、小物をキーワードにした伏線の貼り方等、大小様々な仕掛けが埋め込まれているのも心憎い。
ただ、韓国映画の常ではあるものの、観ているこちらよりも登場人物が大泣きされると、若干置いてけぼりを喰らった気持ちになってしまう。まあ、これはどうにもならない事なのだろうけど。
邦題で主旨が見え難くなっているけど、主人公とその父親の絆を軸に観ると感動が倍増する。終盤で親戚一同が集まる場面のちょい後は、良いシーンだった。