Omizu

殺人捜査のOmizuのレビュー・感想・評価

殺人捜査(1970年製作の映画)
3.6
【第43回アカデミー賞 外国語映画賞受賞】
カンヌ映画祭審査員特別グランプリを受賞、アカデミー賞では脚本賞にもノミネートされた作品。監督のエリオ・ペトリは前年の『悪い奴ほど手が白い』ではカンヌ映画祭脚本賞、1972年の『労働者階級は天国に入る』では最高賞を受賞した隠れた名匠。

警察の殺人課長がSM関係にあった女性を殺してしまい…という話ではあるが、サスペンスではなく不条理劇といった感じか。

まあ素直に時系列を前後させつつ、逮捕されたい気持ちとされたくない気持ちとが拮抗していく様を警察の腐敗や学生運動とも絡めて骨太に描き出していく演出はなかなか上手いなと思った。

主人公が何考えてるか分からないが、最後の幻想と現実が交錯し、カフカの言説が引用されるところはまるでブニュエルの不条理劇をみているような印象を受けた。

この監督の他の作品が日本だと観られないのが残念だが、不気味なサイコ感が面白かった。
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