殺人捜査の作品情報・感想・評価

殺人捜査1970年製作の映画)

INDAGINE SU UN CITTADINO AL DI SOPRA DI OGNI SOSPETTO

製作国:

上映時間:114分

3.3

「殺人捜査」に投稿された感想・評価

先日見た『悪い奴ほど手が白い』のエリオ・ペトリ、ジャン・マリア・ヴォロンテのコンビによるアカデミー賞外国語映画賞受賞作。

「どんな風に私を殺すのかしら?」「首をかききってやろう」なんていうオシャレな会話から始まる本作。ベッドの上で完全にリラックスして見たせいで、途中寝オチしそうになったものの、振り返ってみるにジワジワと作品の真意が見えてきて、いま感心しているところ(理解が遅い子)。実際、とにかくしゃべりまくり怒鳴りまくるジャン・マリア・ヴォロンテの熱演に圧倒されてしまって口がポカンしている間に終わってしまった、そんな感じ。

主人公は殺人課長から公安トップへと昇進を果たしたその日、長年の愛人を殺害する。そして慎重に犯行の証拠を残した上で、愛人の冷蔵庫から拝借したシャンパンを手に、警察署へと向かう。まず「なぜ、わざわざ殺人の証拠を残すのか」という疑問を持ちながら見続けることになり、本当なら気持ちの良い伏線回収を期待したいものなのだが、さらに奇妙なことに、事件の捜査に当たる刑事たちは、彼が残した証拠をことごとく否定していく。彼の回想や妄想、そして次第にエスカレートしていく奇行を織り交ぜながら、犯行や矛盾した行動の動機が見えてくる。

とにかく主人公の人物描写が鋭く、それを演じきったジャン・マリア・ヴォロンテが怖い。彼は色々な意味で権力に取り憑かれていて、普段は相手につけいる隙を与えず、大声でまくし立てるような高圧的な男なのだが(それがもう、本当にうるさくて嫌になるくらい)、自分よりも立場の上の者(時に上司であり、女性であり、若さや情熱を持つ者)の前では、途端に腰の低くなってしまうような弱い男でもある。こうした彼の性格は、腐敗した警察組織を具現化しているように見えた。このあたりは、もう一度見て深めてみたいという気持ちがあるが、体力的に無理かな。

エリオ・ペトリは、それほど映像にこだわりのある監督というイメージはなかったのだけど、大量の指紋鑑定写真の間を行き来するシーンや、警察関係者が主人公の家に入っていくシーン、ブラインド越しに捉えられた両者が対峙するシーンなど、時々グッとくるようなカットを入れてくるから油断ならない。そして、エンニオ・モリコーネ大先生の音楽が、この奇妙な不条理劇に華を添えている。

原題の『Indagine su un cittadino al di sopra di ogni sospetto(潔白なる市民に関する捜査)』というのも、皮肉が効いています。

2016. 85
タイトルとは裏腹に神経症気味の警官が自滅してく話。そこそこ。
モリコーネの音楽が有名。