ちゅう

美女と野獣のちゅうのレビュー・感想・評価

美女と野獣(2017年製作の映画)
4.1
これは大人のためのお伽話。

もしあなたがこの物語に感動するならば、多かれ少なかれ、あなたにも"ビースト"だった時期があるはずだ。
人に疎まれ、あるいは除け者にされ、あるいは笑い者にされ、惓んでいた時期が。

愛を知るとき、愛が何かについて理解するとき呪いが解けるなんてとても素敵だ。
そしてこの呪いは僕をはじめとしてみんなにかかっている、あるいはかかっていた呪いなのではないかと思った。


エーリッヒフロムという心理学者が「愛するということ」という本の中でこんなことを言っている。
"愛は何よりも与えることであり、もらうことではない"
"愛とは愛を生む力であ"る、と。

王子は"ビースト"になったがゆえに与えるという行為を謙虚に行うことができた。
そしてそれが愛するという行為だった。
そして愛したからこそベルの中にも愛を生むことができた。

これは人が成熟する過程でもある...
そんな気がする。


ファンタジーな世界観、幻想的な映像表現で、純度100%のお伽話にすっと入り込める。
心もこの薄汚れた世界から解放される。


たくさんの本を目の前にした時のベルの目の輝きが好きだし、心を開きはじめたビーストのナイーブさがキュートだった。


心が洗われるような体験を欲したとき、また観ようと思う。
ちゅう

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