ジョブズという人間が所謂「普通」ではないことは明らかなんだけど、果たして単なる「天才」や「変人」なのか。人間はもっと複雑だ。
ジョブズやAppleの知識はほとんど無いけど、純粋に映画として楽しめた。伝記映画は事実に基づいてる分、娯楽性に乏しかったりするけど思ったよりエモーショナルな作りでダニー・ボイルらしさも良い方に作用していた。
3つのパートに分かれていて、其々がジョブズにとって大きな転機になるイベント当日の舞台裏を描いている。会話が中心で、しかもその大半が喧嘩や意見の衝突など穏やかなものじゃない。だから初めは正直ジョブズに対してネガティヴな印象にならざるを得ないんだけど、不思議なことに物語が進むに連れ彼を好きになっている。ユーモラスな一面や不器用ながら娘への愛情があったりして、彼の人間らしい部分が徐々に見えてくる。
どこまでが事実からわからないけど、クライマックスの娘とのやり取りはとても感動的だし、未来を示唆するような言葉にはゾクッとした。ファスベンダー初めキャスト陣も素晴らしかった。
