TAK44マグナム

リアル鬼ごっこのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

リアル鬼ごっこ(2015年製作の映画)
3.3
劇中の女子高生が、やたら執拗に叫ぶセリフで、
「シュールさに負けるな」
ってのがあるんですけど、
すみません!
負けました!!

現在の邦画界において三池崇史監督と並んで、メジャー級な予算で好き勝手に映画を撮っていられる稀有な存在といえば園子温監督ですね。
そんな園監督が、これまで以上に好き勝手し放題で作った映画、それが本作、「リアル鬼ごっこ」であります!
「リアル鬼ごっこ」と言えば何度も映画化やドラマ化がされている超メジャータイトルであり、若年層のカリスマ的小説家である山田悠介のデビュー小説ですね。
独裁者である王様が自分と同じ苗字だからって全国の佐藤さんを殺しまくる鬼ごっこを開催するという奇天烈大百科なお話で、刊行当初から日本語がおかしいとかの別の部分で大変話題になったのも記憶に新しい。
しかし、園監督はそんな風に大人気の原作をまったく読まず、ただひたすらに自分のやりたいようにして作り上げたというのですから、さすがはヤクザの親分に殺されそうになっても生還した男です!

修学旅行でクラスメートとバスに乗っていたトリンドル玲奈。
落ちたペンを拾おうと屈んだ瞬間、謎のかまいたちの様な突風が吹いてバスごとクラスメートたちは全員真っ二つに!
驚いたトリンドルは走って風から逃げる、逃げる!
だがなぜか、途中から覚えの無い「私立女子高等学校」(←本当にこういう校名になってる)に登校する場面に切り替わってしまう。
自分は記憶喪失なのか?
不可思議な現象はその後も続き、ついには学校が血の海に染まり、校庭が爆発するのであった!
トリンドルは友達たちと一緒に走って逃げる!
そして、また違う世界へと入り込んでしまい、自分の顔までもが違ってしまっていることに気づく。
今度の自分は篠田麻里子になっていた!
果てもなく続く怪奇で凄惨な現象!
一体ぜんたい、世界はどうなってしまったのか!?
というか、どうしてどこに行っても女子しかいないのか!?

・・・・・こうして書いていても何が何だか、なんですけど(苦笑)、本当にこんな感じで、まさにシュールすぎる映画でした。
ちょっとあざとい、というか狙いすぎな感が強いのが鼻につくといえばつきますが、監督の女子高生に対する何かしらの願望というか、世の中が女子高生に寄せる欲望をまんま具現化させたらこうなった、みたいなところはラストで分かり易すぎるぐらいに分かりました。
そこに至るまでは普通の脳みそがもつ理解ポテンシャルの範疇を遥かに超えたメチャクチャさでどうしたらいい状態でしたけれど、とんでもなく酷いオチは理解しやすかったです。
「わたしたちで遊ぶな!」と反旗をひるがえすトリンドルの想いは痛いほど伝わりましたよ、気持ち悪い斎藤工の登場で!
そう、シークレット出演扱いになっておりますが、ドラマ「昼顔」でブレイクし、マツコデラックスに「顔が性器みたい」とまで言われた斎藤工がラストに登場して、これ以上ないってぐらい気持ち悪い演技をかましてくれるのです!
そもそも斎藤工って世間一般では「昼顔」のイメージが強いんでしょうけれど、ジャンル映画バカな裏の顔がありますからね。
完全に「こちら側」の人ですよ。
まあ、斎藤工のブリーフ姿が拝めますから、百歩ゆずってファンの方にもオススメできるかもしれません。
ブリーフ姿を拝めるまで80分ぐらいは女子がぐちゃぐちゃになる場面を観続ける覚悟があれば、ですが・・・もしくは自分に正直になって早送りやチャプター操作で斎藤工の場面だけを観ましょう。
DVD万歳!ですね。
ちなみにジジィメイクの斎藤工もオマケで見られますよ。

しっかし、本当に徹頭徹尾、「リアル鬼ごっこ」じゃありません。これ、山田悠介は観たんですかね?どう思ったのか興味ありますね(苦笑)
「佐藤さん」の代わりに「JK」が追われるっていう設定だと思ったらまったく違って、鬼ごっこじゃないうえにJKでなくても死ぬし。
篠田麻里子は25歳の役だし。
なんなんだ、これ(汗)?
あまりにもシュールすぎて、トリンドルもしのまりも真野恵里菜も、出演者全員、自分が何を演じているのか分からなかったんじゃないでしょうか。
「なんでこんなの出ちゃったんだろう?」と首を傾げてる人も絶対いると思うなあ。

要するに、SFファンタジーでよくある設定の映画なんですね。
ネタバレになるので詳細は省きますが、結局は斎藤工がトリンドルと○○○したかったんだっていう、ただそれだけ!
それって園監督自身の願望なんじゃないの?って、どうしても勘繰ってしまいますけど、立派なボディをお持ちの奥さんがいらっしゃいますから、どうもトリンドルみたいな華奢すぎるハーフ顔が好みだとは思えないってところが唯一、腑に落ちない点なんですな。

容赦ないゴア描写もウリなんでしょうけれど、どれもデジタル合成ばかりなので生身感が薄いです。
JK真っ二つ、マシンガンやショットガンでの人体破壊、頭部踏み潰し、そして何故かJKの股間がワニに喰われるといったワケワカランのも含めて、一通りのゴア描写が揃ってはいます。
でも、どこか中途半端な感じでしたね。もっともっと突き抜けちゃっても良かったんじゃないでしょうかね。思わず笑っちゃうほどに。
ちょっとファンタジーに寄りすぎというか、全体のバランスが
歪つに感じられました。
個人的な好みではエログロ方面に流れて欲しかったですねえ、やっぱり(苦笑)。
一応、トリンドル玲奈はブラジャー姿までみせて頑張ってました。パンチラはお腹いっぱいになるほどでした。
だけどセクシーな素養がある人じゃないしなあ・・・何か、ちょっと無理矢理やらされている感じもあって、トリンドルが幸薄そうに見えましたよ。
一方の篠田麻里子は実をいうと元AKB組では大変好みな人なのです。胸元ばっちりなウエディングドレス姿で立ち回りを魅せてくれていますが、しのまりと言えばどちらかというと脚線美じゃないですか。スカートが長いままっていうのは明らかに間違っている!と、ここは強く主張しておきます(苦笑)!
・・・えっと、真野恵里菜は、正直あんまり目立っておりませんでした。出番も最後の方だったし。

あと、高橋メアリージュンがいきなりトチ狂いだしたのは凄かったです。あんな風に罵詈雑言を浴びせてほしいオジサマがたくさん新橋あたりを歩いていそうDEATH!
それに比べて、磯山さやかの扱いはマジどうでもいい扱いで驚きました。なんだ、あれ・・・

結論から申しますと、全人類の95%ぐらいがドン引きする映画といっても差し支えないかと思います。
それぐらいにヒドイ!
特に斎藤工のえげつなさがヒドイ(演技としては監督の要望に100%こたえており、演者としては正解)!
というか、何もかも全てがヒドイ!
だけども、例えば「グランドセフトオート」でわざと車をクラッシュさせて通行人を巻き添えにしたりしてヒマ潰しするようなプレイをしていた身からすると、ラストのトリンドルの叫びは、グサリと心に突き刺さるようでした。
・・・・・「わたしたちで遊ぶな!」
すんません!これからは真面目なプレイを心がけます!
優しくてエロくない聖人を目指そうっと!(←棒読み)

・・・などと書いてあってもサッパリ分からないかと思いますが、観れば何となく理解できるでしょう。
「考えるな、感じろ」精神で、我慢して観てみてください。
どうして劇場公開時に大コケしたのかが良く分かりますから!


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