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ムンバイ・ダイアリーズのくりふのレビュー・感想・評価

ムンバイ・ダイアリーズ(2010年製作の映画)
3.5
【ムンバイ・ストーリーズ…にはならない】

ネフリにて。2010年作のヒンディー映画。アーミル・カーンが自社制作し出演した、非・王道娯楽作であり、奥さんであるキラン・ラーオの初監督作、とのこと。

4人男女の“ムンバイの孤独”が描かれる。交錯するのに、結局はぼっち。

映像の完成度は素晴らしい。ムンバイの光と影、匂いがじっとりと伝わってくる。一方、タイトル通りdiaryであって、storyには足りないと思った。最後に「で?」と言いたくなる。

インドならではの抑圧が、大都市でも重くのしかかり、時にひとを潰す。…わかるのだけれど、ここの掘り込みが浅いのか、安泣き映画に転びかかる弱さを感じる。

演技者としてのアーミルは素晴しいと思うが、どうも、持てる者が持たざる者を、冷ややかに眺めているような感覚が、時にチラつく。

でも、キチンと画家役には嵌っていて、相変わらず巧いなとは思った。

大都市らしい“覗きのコミュニケーション”…私は表に出さないあなたを知っている…の交錯からはみ出る感情は、少し興味ぶかかった。

<2019.6.14記>
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