このレビューはネタバレを含みます
古本屋で見つけた「世界 名画の旅」の中で「danae」に惚れて勢いで購入。
そこからグスタフ・クリムトを知り、その時代にヒトラーがいて、ヒトラーは美術学校を受験して2度落ちた事を知った。
この作品「黄金のアデーレ」は前から知っていたもののまだ未見だったのが悔やまれる。
ナチスやヒトラーの話は私には残酷で、その関連の映画は避けていて、唯一観たのが「縞模様のパジャマの少年」という…トラウマになるで有名な映画だった笑
なので、ヒトラーやナチスの話には随分疎い。ヒトラーが美術をやりたかったのも知らなかった。
この作中に出てくるヘレン・ミレン演じるマリアの「美術学生になっていれば…」という台詞は直前に知ったので、中々芯をついた言葉だということは分かった。
全体を通してマリアは勿論、ライアン・レイノルズが演じたランドールの熱意ある行動に感動した。
マリアの叔母がモデルになった肖像画「黄金のアデーレ」がナチスに奪われ、自分も周りの家族も酷い目にあっていたにも関わらず、裁判では勝ち目がないと何度も諦めていたマリアに、大手の弁護士事務所を辞め、妻や子供に苦労をかけながらも信念を貫いて絵画の返還にかけるランドールがとてもカッコ良かった。
ラスト近くの回想でマリアの両親との別れで抱き合うシーンが、父のグスタフの泣き顔だけでも観る価値あるほど泣ける。
クリムトは本当に出て来ないが、この作品を見たら本物を一度は見たいと思うのは当然だと思う。
そして本物を見るなら、この作品は見とくべきだと思う。
まだ返還されていない何万点もの作品や家財も、あるべき人の手に返還されるといいなと思う。