らんらん

黄金のアデーレ 名画の帰還のらんらんのレビュー・感想・評価

3.5
老女アンナは姉の死をきっかけに、ナチに奪われた叔母の絵の返還を望む
若い弁護士ランディと共にオーストリアを相手取った長い戦いが繰り広げられる
オーストリアでの若き日の回想シーンを挟みながら描かれるドラマ

実話を基にした映画で『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I』が返還されるまでの物語

絵画とか芸術に疎いのでこの絵も作者も初めて知った、そしてナチによる美術品の強奪についても、その点で勉強になりました

この絵はもともとアンナの住んでいた家の壁に飾られていたものだったんですが、ナチにより強奪され、その高官の家に飾られて、戦後は美術館に飾られることに

問題は所有権で、叔母アデーレの遺言により美術館に寄贈されたと美術館、オーストリア側は主張
アンナ側はもともと所有権はアデーレになく遺言自体が無効だと主張

現実では最終的に返還されるまで長い年月を経るわけなんですが、映画なので結構あっさり感

あとはお話が綺麗すぎる感もする
アンナ本人はお金目的じゃないとし、弁護士ランディも改心し損得抜きにアンナのため、過去の歴史の過ちを正すために行動

アンナの若き日の平和で優雅で幸せな生活、ナチの台頭、家族を残しての亡命、それらを全て見てきた絵画からの視点、構成が上手いので、なんとなくその気持ちわかるかも、なんだかんだ最後は良かったねって思える点が良い

なんだけど、なんか裏がありそうとかうがって見ちゃう
だってものすごい価値のある絵画なんでしょ、だから揉めてるわけで
本人はお金目的じゃないとしても、周りからしたらそうはいかないですよね、どうしてもお金はつきまとう
返還後どうするつもりかについて返還前は触れられていないけど、結果アメリカで売却され(156億!)、展示されてるってのが現実だからなんか複雑な気も

本人が家で品質を保ち保管ってのも難しいだろうし、歳も歳だし
多くの人も価値ある美術館の展示を望むだろうし
んーー、難しい
ナチによる強奪から正しい持ち主へと所有権を取り戻すってのは正しいと思う
でも取り戻したあとは結局お金、いや取り戻す過程においてもそんな思惑が絡んでたりしないのかなぁとか思っちゃったり
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