CINEMAと暮らす

ピクニックのCINEMAと暮らすのネタバレレビュー・内容・結末

ピクニック(1936年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

忘れられない1日の思い出

シティガールのアンリエットは年に一度だけ訪れる田舎でアンリという青年に出会う。アンリエットには許婚(いいなづけ)が居たが、アンリにキスを許してしまう。アンリエットは結婚後もアンリのことを思い、この地を訪れるのだった。

極論、不倫関係が始まる運命の1日の話ではあるのだが、時代背景を考慮すると、許婚という本人の意思とは関係ない結婚に異議を唱える内容であったことの方が重要な意義を持つ。

憧れの的であるアンリエットを窓枠に収める構図で、室内で駄弁る男たち。隔絶されていたはずの世界はいつの間にか、融和する。年に一度ピクニックに来る場所は年に一度、忘れられない男に会うための場所に変わった。彼女にとって、田舎が持つ価値が都会の価値を越えてしまった。

川で始まり、川で終わる。アンリエットの中ではたった1日の出来事が止まらない川の流れのように延々と続いていくのだろう。