とにかく描写が美しくて、色遣いや暗めのトーンも上品だし、CG もとても丁寧で、見ているだけで楽しめる作品だった。
そして、主役のルイス・マクドゥガルの演技が素晴らしい。こんな少年にもかかわらず、孤独さと、いつも悲しみと怒りを心の奥底に湛えた様子は大人である自分から見ていても共感してしまって、たまに息苦しくなる瞬間があった。怪物に語気荒く迫るシーンなどは、彼の葛藤と勇気に心が揺り動かされる。
ただ、ストーリーとしては「極めて」難しく、もう少しヒントがほしかったなぁ、と思う。でも、そんな難解さを考慮しても余るほど、感情移入しやすい映画で、それは緻密で丁寧に描かれた物語の世界観と主役の演技によるものだと思う。ファンタジーが好きな人には特におすすめできる映画。
