アクバルは16歳で恋人と心中を図るも恋人だけが亡くなり死刑囚となった、18歳の誕生日を迎えて死刑執行可能年齢となり刑務所に移送される。少年院で一緒だった親友アーラは出所が決まり刑務官にアクバルの刑回避には原告で恋人の父の説得が必要と聞き情状酌量してもらおうと決め、まずアクバルの姉フィルゼーを訪ねる。
▶︎『セールスマン』『別離』でベルリン、カンヌ、アカデミー賞の各賞を受賞し続けたアスガー・ファルハディ監督の長編2作目。
最近の『英雄の証明』でもそうだが、刑がイスラム教の教えに基いているのはまだ理解するにしても、結局刑はお金次第かと知らされる度にやるせなくなったのと同時にファルハディ監督のメッセージ性を改めて実感出来た作品となった。
被害者の父に許しを求めるアーラとフィルゼーの姿と死刑を執行してもらう為の賠償金を工面しなければならない父の姿、そこにアーラとフィルゼーの恋愛を重ねて描き、観る者の心を刺激するプロットも丁寧で重厚感がある。
そこに中東っぽい色彩と各人の表情を鮮明に映した映像も物語をリアルに伝え感情に訴えて来る強さに感嘆した。
WOWOWの『アスガー・ファルハディ監督特集』にて鑑賞。