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リリーのすべてのhuaのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.1
世界ではじめて性転換適合手術を受けて男性から女性になったデンマークの画家、リリー・エルベの実話をもとに描いた小説『The Danish Girl』を原作とした作品。
1926年のデンマークが舞台。

心と体が一致しないことに葛藤し苦しむ人は今もたくさんいて、今の時代だからこそLGBTQという言葉も浸透し、当時より理解され始めてはいるが、それでもまだまだ生きづらいだろうと想像するに難くない。
当時はおかしな人としてみられ、
精神病と診断されていた。そんな時代に、自分の内側にあるものに気付き、それが膨れ上がりどれだけ戸惑っただろうか。

自分の中にアイナーはいないのだと気付いた時、妻を傷付けていることに苦悩し涙する姿に胸を締め付けられるようだった。

困惑しながらも理解を深めていき寄リ沿い続ける妻ゲルダが健気で切ない。
自分が間違いなく愛した人がいなくなるというのは受け入れ難かっただろう。
リリーとゲルダは男・女という以前に互いに1人の人間として心が結ばれていたのだろうと思えてならなかった。

全体的に色のトーンが落ち着いていて静謐な映像が、2人の心の葛藤を際立たせていたように思う。
ラストのようやく自由になれた2人を表したようなシーンが胸を打つ。

アイナー/リリー役のエディ・レッドメインの演技は神がかっている。
儚く繊細なリリーは見事。
この役のためにかなり減量したのだろうと心配になるほど。
この人のいろんな役を見てみたい。
本当に大好きな役者さんだ。
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