Ryoko

江南ブルースのRyokoのレビュー・感想・評価

江南ブルース(2015年製作の映画)
4.1
あまり評価が高くないようだけど、マフィア映画としても、韓国の土地開発の闇を描いた社会派ドラマとしてもなかなかよかった。
1970年代韓国。ソウル江南地区の開発に絡んだマフィア同士の抗争を描いた作品。40年前は長閑で広大な田畑が広がっていた江南の土地がどんどんお金に変わる。ヤクザ使って地元の人騙して金積んで、政治家もやることエグい。
幼い頃から兄弟のように育ってきたヨンギと、組織のボスで父親のように敬愛するキルスとの間で悩む主人公ジョンデの気持ちはとても痛々しく伝わってきた。よくある板挟みパターンだけど、主人公はどちらをとるのかも楽しみにしてもらいたいポイント。キルスを演じたチョン・ジニョンが個人的には本作でのベストアクター!目力で強さ、忍耐強さ、悔しさ、寂しさ、優しさを表してる!
好きだったのは、バイオレンスシーンの見せ方。一つは、雨の降る夜中に暗殺が繰り広げられるシーン。ムーディな韓国歌謡がバッグに流れるのが良い。暗殺シーンと大雨の相性の良さったらない!
それからもう一つは、ある人物の葬式の最中、赤土の上でのマフィア同士の乱闘が始まるシーン。赤土が血で染められさらに赤が映えていく。
確かに人間関係は複雑(というかオジサンたちの顔が似てる)だったので、公式HPの人物相関図と巻き戻し機能を駆使させていただいた。集中してゆっくりじっくり人間関係を把握しながら見ればそこそこ楽しめると思う。他にも、突っ込みどころがないわけではないが、上記のシーンとチョン・ジニョンに心を打たれたのでチャラにする!
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