どーもキューブ

軽蔑のどーもキューブのネタバレレビュー・内容・結末

軽蔑(1963年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ゴダールのラブ、好き好き大っ嫌い!映画編


 2010年3月12日 19時51分レビュー

 

1963年作品、脚本監督ジャンリュックゴダール。音楽ジョルジュドルリュー。

ひさびさゴダール。

次作は、コロンビアの女神像が映し出される

「はなればなれに」

ゴダールにとっては、制作費からの面でもかなりの超大作のようです。しかも大失敗作品。

プロデューサーの怒りのコメントもあるくらい。


ゴダールのお金かけた映画の「映画」物語。

いやーゴダールがこんなにわかりやすく「恋愛物」を撮っていた事にびっくりしました。

一見まさしく、映画の映画的裏話的内容にみえるんですが、実は「勝手にしやがれ」から続く男と女の「リアル」な対話が如実に表現された素晴らしい作品に見えます。

主人公たる悩める戯曲作家、脚本家、ミシェルピッコリ。

彼の仕事相手に初期ジャーマンシネマの大家映画監督、フリッツラング

アメリカの映画屋がたいの良いジャックパランス

彼らでいちお、映画制作の裏的ゴダール台詞の応酬、シーンが展開します。


ですが、私にも本当の所

「よくわかりません(苦笑)」

それより映画全般をしめる「ブリジットバルドー」のこの

「裸体っぷり」
「こころばえ」
「ちくちくする台詞」

「語気」にうちのめされっぱなし

リアルな女性ごごろを体現されています。是非必見!

このピッコリ、バルドーカップルの喧嘩に多くのカップルの方がうなずくことでしょう。

「あなたが好き、好き、大っ嫌い」的ゴダールの軽蔑台詞と素晴らしい色、画面

うわーこんなに面白い作品をゴダール撮ってたのかーと驚いてしまいました。

撮影ラウルクタールの素晴らしい遠景の「海」のブルー

つらなる運命の長い階段、
まるで二人の道のりのように険しい斜面と長さだ。
肌色のバルドーの肌、しつこくかぶり続けるピッコリの帽子、、。相変わらずの美しい撮影。

ときたま、撮り方を変え、微妙に画面が変化したりします。

あと、突然投射される青い光も健在。

音楽も突然割り込むように流れ、急にしぼむゴダールの必殺技も健在。


後期作品になるとこの音楽の流す「タイミング」を意図的に遅くしたり、ずらしたりしていきます。

ブリジットバルドーの態度を世の女性陣は、どうみるのでしょうか?とっても気になる。

ピッコリの気持ちもよくわかる部分とそれは「無いなー」的な部分とさまざまです。

本作はゴダールが魅せる映画への軽蔑であり、男女のこえられない「気持ち」を繊細にぶつけた素晴らしい


「ラブストーリー」でした。


ピッコリの怒り。
バルドーのあきらめ、うざい感じ、言葉をなくす気持ち、寂しさ。

男女のすき、すき、だいっきらいを実によくえがいています。

男女の仲をこんなにも「リアル」に描いていたゴダールにやはり尊敬です。

「勝手にしやがれ」のセバーグとベルモント。

尊敬監督出演にメルビル。

「気狂いピエロ」でのアンナカリーナとベルモンド。
尊敬監督出演にサミュエルフラー。
そして本作の二人。尊敬監督、フリッツラング。

ゴダールが描く文句をぶつけられるふがいない男とどこかそっけなくあさってを向きながらも「ラブ」を確かめる女。

そしてゴダールのアメリカ映画に対する「ラブ」、男女の「ラブ」を表現したゴダールなりの大作映画なんですかね?

そんな心境を表現したような三部作的位置づけに見えます。

リスペクト映画にハワードホークス「ハタリ」
ロッセリーニ「イタリア旅行」
ヒッチコック「サイコ」?が出てきます、他ありますが見落とす。

ゴダールが描くすき、すき、大嫌いな男女の物語。バルドーの素晴らしい体現が魅力的でしたー。
補記。ゴダールは、トリュファーの「アメリカの夜」より、自分の方が映画の映画的物語として表現は、上だ的発言していますが、自分見る限り、トリュフォーの「アメリカの夜」のほうが、映画の「映画」的物語として、断然わかりやすいです。
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