小波norisuke

ぼくらの家路の小波norisukeのレビュー・感想・評価

ぼくらの家路(2014年製作の映画)
4.0
まだ6歳の弟は、10歳の兄を信頼しきっているのだろう。へとへとのはずなのに、駄々をこねることもなく、従順に兄に従う。街のベンチでも、アパートの廊下でもどこでも寝落ちしてしまうところも大胆なのか、絶体に守ってくれるであろう兄への信頼なのか。無防備な姿にはらはらしながらも愛おしく感じる。

まだ10歳の兄ジャック。母親にたくさん甘えたいのに母親が見つからない。幼い弟を連れて、空腹と疲労に襲われ、心の中はきっといっぱいいっぱいだろう。悪いことだと自分でもわかっていることもするけれど、ジャックなりに理由があるのがせつない。

情事の際中に部屋に入ってきて空腹を訴える息子に、母親が一糸まとわぬ姿でパンとジュースを与える様子にびっくりした。

ドラマティックな盛り上がりを欠いた、敢えて抑えた描写が、かえって沁みる。

ジャックの着ている赤いパーカーが映える。「少年と自転車」を思い出させる。
小波norisuke

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