純

ランデヴーの純のレビュー・感想・評価

ランデヴー(1976年製作の映画)
3.7
『男と女』と同時上映された、10分にも満たないショートムービー。ひたすら低い視点からハチャメチャな運転をする様子が撮られているだけなのに、飽きずにドライバーと一緒に車に乗っているような臨場感と、なんとも言えない魅力が詰まっていた。

私はもう呆れるほど運転技術が低いから(というかもはやない)、終始猛スピードでエンジンガンガンふかせながらの粗い運転に何度か鳥肌が立った。方向感覚も絶望的だからどこを走ってるかもどれだけ移動したのかも分からず、このまま止まらないんじゃないか、いつかクラッシュしちゃうんじゃないだろうかと気が気じゃなかった。

街並みはすごくお洒落で、そう言った通りに出たときは建物の外観に目が奪われるんだけど、それよりも視界から消えてく白線のスピードに圧倒されて、やっぱり早く止まってくださいと思わずにはいられない。並木通りに出たらすごい速さで木も消えていくし、何が背景かで印象だとか速さの体感が全然違う。こんなタイミングで急に曲がってよくぶつからないなと何度も思ったし、ドライバーだとかレーサーってすごいね。怖い、って思ったらそれが運転の迷いにつながって事故を起こしかねないし、度胸と技術を持ち合わせとかないと車を運転なんてできない。

あと、始めひとが全然見当たらなくてとても不安になった。曇り空だからか時間帯も分からないし、車は走っているからひとが乗っているのは当たり前なんだけど、見えないとやっぱり安心はできず。かと言って後半ちらほら姿が見え始めると「あああ轢かれるー!」って冷や汗ものだし、何かしら見ていて心臓に悪い(笑)鳩とかほんとによく轢かれなかったよね。視点が低い分道との距離がとにかく近くて、速いというただそれだけのことに恐怖を覚える。

でも、ただブンブン言わせながら運転して終わりではなく、小さなオチがきちんと付いていて可愛らしい。そういえばタイトルってどんな意味だっけ、って観た後に調べたら「超ストレートじゃん!」って笑っちゃったから、逆に無知で、かつ観る前に調べておかなくて良かった(笑)

素晴らしい運転技術に舌を巻きつつ、ちょっとしたスリルとくすっと笑える愛らしさを持ち合わせた、完成度の高いショートムービーだった。
純