九月

二ツ星の料理人の九月のレビュー・感想・評価

二ツ星の料理人(2015年製作の映画)
3.7
料理の腕前は確かなのに、人間性に難ありな主人公をいまいち好きになれなかったものの、レストランの裏側や手際の良い調理を見るのを楽しんだ。
主人公アダムの言動にギョッとすることも多々。こういうレストランや食事を提供する場で働いたことはないけれど、昔アルバイトしていたアイスクリーム店や新卒で入ったアパレル企業での経験(苦い思いをしたこともたくさん…)を思い出したりした。

チームで働くとなると、やっぱりトップに立つ人の統率力や威厳が重要になってくるけれど、それも行き過ぎると人がついてこなくなる。
アダムの立ち振る舞いは度を過ぎているように見えたけど、彼に反旗を翻す人もいれば、文句ひとつ言わない人、何か思っていたとしても表には出さない人、寄り添ってくれる人、苦言を呈してくれる人…いろんな人がいると改めて実感。そして今までの職場や上司のことを思い出した。
私は何も言わずに跡を濁さず去るかな。

こういった華やかなレストラン、行くことすら少ないけれど、客として行くか、テレビで見るかしかないので、作られている様子はどんな感じなのか、想像したこともなかった。脚色はあれど、実際こういう場面もあるのかなぁ…と思って見ると、料理の有り難みが増すような、逆に美味しくなくなるような…微妙な気持ちにもなった。

全体的に、いまひとつのめり込めないあっさりとした描写で、物足りない気がしたけれど、映像やムードはすごく好みだった。
最後は拍子抜けするほどのまとめ方で、むしろ和んだ。
九月

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