片腕ファルコン

父を探しての片腕ファルコンのレビュー・感想・評価

父を探して(2013年製作の映画)
3.6
『母をたずねて三千里』みたいな話かと思ったら半分違ってた!!

冒頭、小学生が描いたカオナシのような顔と棒線のみで描かれた手足。白地の地面にクレヨンだか色鉛筆だかで雑に描かれて花や草。コレ、大丈夫なんだろか…!?

全編セリフもなし!

そんな中、蝶の羽ばたく音や足音などの効果音だけは過剰なほどにクリアに奏でていてそのギャップにハッとさせられます。

フルートから始まる音楽も気持ちが良い事この上なし!

楽しく過ごしてた3人家族でしたが突如、父が出稼ぎに旅立ってしまった!!寂しい少年は父を見つけて家に連れて帰ろうと1人で大冒険に出かけるんですねぇ~!!

冒険が進むにつれて…だんだん背景がカラフルに、そして切り絵や油絵に変わって背景が細かくなっていくのが分かります!!それは舞台ブラジルの街の賑やかさ華やかさと比例していて、貧困層との差を画のタッチで対比させているんです!
語らずとも画だけ国の現状を表現してるテクニックは相当すごい!!この辺りの形にとらわれないイマジネーションセンスは僕の大好きな『マインドゲーム』を彷彿とさせます!あと少年が未開の地をひたむきに駆け抜けるシーンが多く『クレヨンしんちゃん オトナ帝国の逆襲』に重なる部分もありました!

ただ、人間の描写はずっと変わる事はなくみんな同じ顔…表情からはその心情を窺い知る事ができません!!セリフというツールがない分、ここが重要なのになぁ・・・と思ってました。けどコレを逆手にとったギミックも仕掛けられていて その点まで計算済みでこのタッチなのだとしたら相当天才的です!!

泣くまでには到達しませんでしたが…かなり完成度は高め!(フィーリングがバッチリあえば確かに号泣作品かも)
納得のアカデミー賞ノミネート作品!!

どうでも良い情報:僕も主人公と同じボーダーT好き!