改名した三島こねこ

ラ・ラ・ランドの改名した三島こねこのネタバレレビュー・内容・結末

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

「僕は、恋人たちが最後に結ばれないラブストーリーが大好きなんです。とてもロマンチックだと思うんですよ。歴史に残る優れたラブストーリーが、ほとんどハッピーエンドでないことには理由があると思います。つまり愛の物語を描くのなら、愛は登場人物よりも大きな存在でなければならないんです。」

デイミアン・チャゼル監督のこだわりがありありと伝わってくるラブストーリー。世間的にはミュージカル映画と絶賛されるが、監督からするとミュージカル要素はあくまでスパイスだろう。

ミュージカル映画といえば『グレイテスト・ショーマン』のような全編名曲で圧倒するというようなイメージが強いが、本作は違う。OPでこそ素晴らしい合唱を披露してくれるが、その後の合唱シーンは多くなく、映画としてのストーリーをぐらつかせないように本筋描写に力を入れている。

急に演者が劇中で歌いだすというのが苦手な人は実際多い。しかし本作はマイルドなミュージカル入門といった構成で、ラブストーリー×ミュージカルという高い敷居を跨ぎやすくしている。

劇中で『カサブランカ』を引用されるのだが、本作のストーリー自体も理想を追い求める男女の別離と愛を描いている。夢追い人というアイデンティティが前面に出たセブとミアではそういった別離は必然であるのだが、その過程が納得できるものになるのは流石。
"大人"となったセブが見送る側に立ったからこそ、最後の哀愁が味わい深いものになったのだろう。この立場が逆であったなら、ラストの余韻はこうも印象的にはならなかった。

最後の15分間の展開は圧倒的だが、それまでの展開が必須なので最後まで見ろとしかオススメできない。拍手を向けるレストランの店長の姿にはニヤリ。