みかぽん

LION ライオン 25年目のただいまのみかぽんのレビュー・感想・評価

3.9
サルーと同じ年の頃に、旅先の心斎橋地下アーケードでひとり逸れ、母や姉の名を叫びながら彷徨ったあの恐怖と絶望の数時間を思い出してしまった(全く規模も環境も違う話だけど (c" ತ,_ತ)… 。しかしさっきまで当たり前にあった自分の世界がこのまま崩壊するのではないか、と焦るあの激しい恐怖と絶望の時間は、今でもはっきりと脳裏に刻まれている)

サルーはストリートチルドレンになるべくしてなった経緯のない、貧しくても家族に愛され、きちんと居場所を持った子だっただけに、里親に大切に育てられて成長しても、元々の家族への想いやアイデンティティーへのオトシマエがついているわけではなかった。
かくしてグーグルという新しい可能性を介し、サルーのこの先を占う運命の旅が始まり、そして完結する。

家族が突然離れ離れになるなんてあってはならない不幸だし、それに追い打ちをかけるような酷い大人も現実にはたくさんいる。
しかし彼の里親のような素晴らしい大人だってこのこの世にはちゃんといて、勿論、本人だって最後まで諦めない強い意志を持ち、やり遂げたからこそ、あの最後の映像があるわけで。

いやはや、久々に清々しい涙を目一杯流し倒せるお話に出会えました…。
みかぽん

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