さくらんぼ

LION ライオン 25年目のただいまのさくらんぼのレビュー・感想・評価

4.3
インドでの家族のシーンから迷子になり遠い地に行き着いてしまう冒頭の数十分はことドラマの見どころの1つ。渋谷の交差点なんて比じゃないくらいの数の人達の中に5歳であれば100センチちょっとであろう身長の男の子が埋もれながら母と兄を呼び叫び、そしてただ走り続けている。何のあてもないのに…。
子供を連れ去ろうとする人から逃げ切りたどり着いた6車線ぐらいありそうな車のいない橋の映像は絶望感しかなかった。これからこの子はどうなるのかと。
とにかくこの子役の男の子演技が素晴らしかった。台詞はほとんどないけれど、あの目を見るだけで、不安さや寂しさ聡明さが伝わってきた。そして彼の愛くるしさに目が離せなかった。

その後オーストラリアに養子として迎え入れられる。
好きなシーンの1つはお風呂のシーン。
お風呂で遊ぶ姿を母親になったばかりのニコールが湯船の外に座り男の子に話しかけている。「いつかあなたのことを全部話してね」と。お互い言葉は分からないけれどきっと2人には通じる何かがあったはず。

男の子が青年になり、どうして養子を取ることになったかニコールキッドマンが淡々と語るシーンを見るだけでもこの映画を観る価値はあると思う。彼女の華やかさオーラを消し本当の母の心情を表していた。

迷子になった男の子が生き延び、素晴らしい青年になったのも小さい頃に家族に愛され、新しい両親に愛されいたからだと思う。家族の愛と絆を描いた素晴らしい映画だった。
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