ソフィ・カルの「本当の話」をベースにしつつ、小池真理子の原作とは色味のだいぶ異なった別物になっていて、そこがとても良かった。
門脇麦と長谷川博己がさすがの安定感。
珠の彼氏に菅田将暉のキャスティングは勿体ないとはじめは思ったけれど、見終わったとき、かなり重要な役どころだったように感じ、納得。
篠原教授役のリリー・フランキーのつかみどころのなさもいい。哲学的尾行だとか秘密を持つことが人間関係を円滑にするとか、噛みきれないテーマが淡々と続いて行き、終わるのか終わらないのかすら曖昧なラストに珠や彼氏や石坂の容赦ない答えがあぶり出されてゆく。当然篠原教授も。
果して、他者の生活を覗き見した珠が得たものはなんだったのか？
小説より小説的な詩情溢れる余韻に、思わずDVDを二度観てしまった。
