Ryoko

弁護人のRyokoのレビュー・感想・評価

弁護人(2013年製作の映画)
4.3
ソン・ガンホの舞台挨拶つきで鑑賞。ガンホ氏の映画愛に溢れ紳士的な人柄が垣間見えて嬉しかったです!より一層ファンになりました。

映画について。
1970年代から80年代軍事政権下の韓国が舞台。当時、国家警察による一般市民への「アカ」のレッテル貼り、不当逮捕、暴力による自白の強要が横行。裁判も形ばかりで、実際には裁判官・弁護士・検察が結託し、無罪の者も有罪にさせていた。
権力に逆らい立ち上がるのは、弁護士ウソク。このモデルは、弁護士時代の盧武鉉元大統領。
法廷シーンでの「怒れるソン・ガンホ」は必見です。力強く頼もしい。素晴らしい演技だった。ウソクとお世話になった食堂のおかみさんとその息子との間で描かれる「恩義」や「人情」にもホロリとさせられる。
弁護士を経て、政界に進出し、大統領となった盧武鉉氏も、最期は自殺という哀しい末路を辿ることになってしまう。映画の中の彼は、貧しい家に生まれ、苦労人で、人の痛みがわかり弱い者の立場に立って闘う立派な弁護士。そんな彼がなぜあんな最期を。ただ確かなのは弁護士時代の彼に助けられた人たちはたくさんいたということ。そこはおそらく韓国でも評価されているのだと思う。彼が政界進出せずに弁護士業を生涯貫いていたら、きっとあんな最期は迎えなかっただろう。何とも言えない哀しくやりきれない気持ちになる。
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