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優しい嘘のtheocatsのレビュー・感想・評価

優しい嘘(2014年製作の映画)
3.3
ピリ辛ではない[水キムチ]のようないじめ話

あらすじのイメージではありがちな過酷凄惨いじめストーリーかと積極的に見る気はしなかったが、ちょっと覚悟を決めてみたらどうも様子が違う。

女子同士のいじめというのは暴力ではなく言葉や態度で相手の生命エネルギーを枯れさせるような底意地の悪さが特徴のようで、本作もその線は踏襲されていた。
しかし、それが即自殺に直結するというのは男にはなかなか理解が難しいというのが正直な所。少なくとも私個人にとっては。

何れにしろ劇中の少女はそういった陰湿いじめにより自らの命を絶つという道を選んでしまった。
ここからが本作品の変わった味付けと思われたのだが、自殺に追い込んだ少女たちを強く咎める・糾弾する・追い込む・破滅させる、という流れにはならず、それらのいわば加害者さえ救済しようという意図が満ち溢れていた。

もちろん加害者救済に到る過程で自殺者の家族たちは相応の動機追求を加害者(とその親)に対し行使し、糾弾さえしてはいるが、それでも最後は〝理性と愛情”で矛を収め、突き抜けた復讐劇とはならなかった。そこは見ていて安堵できた部分。

韓流食事に例えるならピリ辛の肉料理ではなく辛くない優しい味の水キムチを食べたような不思議なさっぱり感。この余韻は決して悪くない。

3.3の三ツ星

012103
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