ハンスウ

優しい嘘のハンスウのレビュー・感想・評価

優しい嘘(2014年製作の映画)
4.0
これ、前に冒頭だけチョコっと観て良さそうだったんだけどあまり気分じゃないからすぐにやめてマイリストに入れっぱにしてたんですよ。でも、いつか見ようと楽しみでもありました。

といっても楽しい娯楽作とかではないです。韓国は映画もドラマもイジメとか自殺をテーマにした作品が多いですけど、復讐劇としてエンタメに仕立てたり、または責任の押し付け合い、罪のなすり合いの泥沼劇に仕立てたりするのがもはやお家芸ですよね。今作では自ら命を絶ってしまう女の子の話をしてるんですけど、先に挙げた激しいエンタメ感は皆無で基本的に家族の愛を描いていました。その子が自殺をしてしまうにいたる積み重ねに関わった子やキッカケを作ってしまった子も登場するんだけど、激しい罵り合いとかにはならない。亡くなった子供の母親や姉がいかにこの先を生きていくかっていうことに重点が置かれているような気がします。

原作者が女性作家だからやはり女性ならではの視点や発想があると思います。硬派で社会派の男性作家とは違う優しいタッチ。それからファンタジーチックな要素も盛り込まれていて、ここはお話的なオブラートに包まれた感じなんだけど、わたしはそれは嫌いじゃないと思ったので観ていられました。十代の女の子を見つめる作家の優しい眼差しを感じます。

この映画は誰か責めて恨んで生きるより、かけがえのない家族の死を悲しみながらその存在をいつまでも忘れずに、そしてたぶん前に進む道を模索しながら生きていく。結果的にそれが亡くなった子のためにもなるんじゃないかといっているような気がします。少なくともそういう風に考えたのかもしれません……。
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