ぴろぴろ

あの日のように抱きしめてのぴろぴろのレビュー・感想・評価

あの日のように抱きしめて(2014年製作の映画)
3.9
モヤモヤしながらもシビれた。
図らずも最近ここ何本かホロコーストに関連する作品を鑑賞しているが、今作もそう。
第二次世界大戦直後のベルリン。
収容所のその後。 奇跡的に生還したネリーは顔に酷い大怪我を負いながらも、再建手術をして夫ジョニーを探し続ける。 元の顔に近づけるようこだわったのはジョニーと元通りの生活を取り戻したかったから。 ついに再会を果たした2人だが、目の前にいるのが妻だと気づかないジョニーは…。
「そんなこと有るか?」という目で観ながらも次第にどこでどう気付くかが気になって来る。
この夫婦は、ユダヤ人迫害が無ければずっと一緒にいたのだろうか。
ユダヤ人迫害が無くとも、いずれ破綻したのだろうか。
劇中流れる印象的な「スピーク・ロウ」が甘く切ない。 歌詞がネリーを代弁するようで沁みる。
夫の、その瞬間の顔が見たかった。 もう「いよっ、待ってました」状態だった。 そしてそこは、立場が逆転する瞬間でもあったと思う。 親族の面々の顔も見逃せない。
♪スピーク・ロウ〜♪ ネリーの声が題名の様に始めは歌うというよりも囁くように。 やがて、まるで助走から踏み込んでネリーが開放されていく。 伸びやかで声量もあって声がいい。
「スピーク・ロウ」歌のその後は描かれない。 そこもまた良い。 チラ見せする腕。ラストシーンが素晴らしくて、かなり好み。
後からジワジワ来る。 実は夫は気付いていたかもと思ったり。 いや、やっぱり気付いてないのかと思ったり。 ネリーの気持ちも変化があったんじゃないか、ラストは復讐劇かと思ったり。 男女の愛憎は人それぞれ、傍観者はモヤモヤのままが一番良いのかもしれない。
ネリーもジョニーも戦争の犠牲者には変わりないのだから。