アウシュビッツ収容所に、突然放り込まれたような衝撃。
ずっと目が離せない。
とにかくタイトルが出るまでのオープニングは、あまりにも衝撃。
積み上がる死体の山、それを処理するゾンダーコマンド、突然始まる大虐殺、仲間が死んでいく恐怖。
それを主人公の主観で追い続ける。
すべてがはっきりわからない。
ちゃんと見せてくれない。
死体もぼやけてる。
でも明らかに大量の部品(人)が死んでる。
POV手法っぽいけど、客観視させてくれなくて、カメラは常に主人公の隣にいる。
逃げられない。
目を背けられない。
グロいシーンは全くないのに、何とも言えない感情になる。
すごいのはホロコーストを描いているのに、全く昔感がないところ。ホロコーストを過去の遺物にせずに描いている。今のこの時代に起こっているように見える。
サウルが子どもの埋葬に奮闘する様はあまりにも異常だが、終盤ある事実?が明らかになり、さらに異常性が増す。
なぜそこまで?と思ってしまうが、生と死がごちゃごちゃになってしまった収容所ではああならざるを得ないのかもしれない。
音楽もなし。
何の煽りもなし。
ドキュメンタリーでもない。
観るのに相当体力を使うであろう、終始息を飲み続ける映画でした。