鹿伏

ロブスターの鹿伏のレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
4.3

ボーダーコリーとラクダとレア・セドゥと。
隣の芝生は青く見える現象というか、ひとはルールがあったら破りたくなるものだもんね、って感じ。「好きなフリをするのは難しい。好きなことを隠すよりも」ってセリフがあったように規則や制度って枠組みがあるから無理くり恋心なんて、なかなか沸くものじゃない。だからか、とにかく登場人物がぜんいん相手との共通項を躍起になって探しているのを見て、やっぱり理詰めで相手を好きになろうとしてるのでは?などと思う。映画の中の世界は説明も解説もなく、ただ一方的かつ断片的に与えられるばかりだったから、相手との共通のなにかがないと結ばれないのでは?って疑うほどに。そりゃ実際の恋愛だって相手と同じ話題を共有したいけど、それだけじゃないものね。でもこの世界で「シングル」は許されていないから、もう最初から恋愛する相手じゃなくて暮らしを共有する結婚相手を探しているのかしら。

相手と共通することがこの世界の恋愛において侵すことのできない不文律なんだとしたら、きっとコリン・ファレルは最後に実行したんだろうな。終わる瞬間の暗転とエンドロールの潮騒は、きっと、そうなんじゃないかな。ベン・ウィショーたちのそのあとが描かれなかったから、無理につくった共通項の結果がどうなったかわからないし推測にしかならないけど。

同期力、とかいいながら、ポータブルCDプレイヤーの再生ボタンと、せーの、で押したい
鹿伏

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