鹿伏

デューン 砂の惑星PART2の鹿伏のレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.1

「この命ある限り君を愛する」

選択することに伴う責任と代償
生活や仕草を見せるためだったり間や空気感を描くための3時間ではなく、あまるにも長大な物語を圧縮して省略して飛躍した3時間なので(他の映画なら終盤の見せ場になるだろうシーンをこんな一瞬で!?)となる。登場キャラクターの覚悟がみんなキマりまくってるので物語がズババと進むし唯一思い悩むポールも余白や行間がたぶんにあるせいでさっくり覚悟を決めたように錯覚する圧縮度よ。丁寧に説明して物語に同行してくれるというよりついてこれない人は問答無用で振り落とすタイプ、しかもキメッキメな大見得カットのために前後のつながりが不明な点があるが、そんなの押し潰せるくらいの圧倒的なキメのカットの連続だった。そういう、必殺のエピソードを必殺として消費するわけじゃないところもリッチな造りなんだった

まだ幼さの残る前作と違ってポールが完全に“大人”然としており、加えてシャラメのビジュアルが抜群によい、さらにさらに砂漠のシーンがどれもバチっと決まりすぎて、救世主思想による盲信・狂信の恐ろしさ・危険性が薄れてしまい(自らが救世主となることによっておびただしい人間が死ぬ聖戦がはじまってしまう葛藤/それを避けようとするポールも救世主思想を強く信じるフレメンの住人や息子を救世主としたいジェシカの政治的な思惑によって避けることができない)、あの演説シーンなどはチャニの盲信している人々への懐疑的なまなざしが非常に印象的で、個人のカリスマに依すぎることへの危険性はつまるところこの物語としての核になるはずが、それすら霞むほどのシャラメ……

原作の物語を読んだのでこの先もある程度わかってしまってるが、この2部作がたいへん丁寧なので超大国とそれに対する小国のゲリラ的反抗という図が明確になっており(砂地に潜っての奇襲、砂虫への騎乗など)、緑の楽園へと飛び出してゆく最後はいや核があるからってさすがに無茶じゃないかそれ!?など思う。アニャはもちろん大好きなレア・セドゥがほんの一瞬だったので次作はもっと出てくれの気持ち、砂漠の救世主も引き続き頼むよその頃にはシャラメもさらに貫禄が出てるはずなので
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