すー

ロブスターのすーのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.7
レア・セドゥとベン・ウィショーが出演。そして設定が面白そうということで観に行ってきました。

まず性的な言動、残虐な行為、自傷行為も躊躇無く描写しているので苦手な方は用心してください。それから底抜けて明るい所謂コメディだと思っている方は違うので、そういう意味での期待はしないほうがいいと思います。作品自体は面白いです。

公式サイトに記載されている「ヨルゴス(監督)は1つの価値観を観客に押しつける監督ではないんだ」というコリン・ファレルの言葉通り。見終わった人達の考えはひとつに辿り着かないと思います。
似通った考えにはなるかもしれないけれど、でもあれはこうじゃない?え、そこはこうじゃない?なんて意見は確実にばらけるかと。その話し合いがまた楽しいと思います。

私は、このルールだらけの世界が恐ろしいと感じました。
街もホテルもルールだらけで、漸く抜け出した森も結局はルールが支配している。どこへ行っても結局はルールに縛られる。
この映画の世界に本当の自由なんてあるのだろうか。そしたらそれはなんなのだろうか。もしかしたら動物になったほうが自由なんじゃないか、なんて思い始めたり。

恋愛を強制された空間で愛なんて見つけられるのかと思っていれば、その強制を解かれた途端にいとも簡単に愛と出会う。とても皮肉で、愛を育む姿は微笑ましいのか滑稽なのか考えている間に話はどんどん進んでいく。
そこで起きる出来事に、既にこの世界に慣れきってしまった頭は容易にその行為を受け止めている。冒頭に起きていたらきっと困難だったろうに、感化されていました。

最後、この世界の恋人同士はふたり同じであることがとても重要なのか、ってふと思いました。
すー

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