ひろゆき

ロブスターのひろゆきのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.2
銀幕短評(#343)

「ロブスター」
2015年、ギリシア、アイルランド、英仏蘭。
1時間 58分。

総合評価 63点。

男が ロブスターになるか ならないかのはなし。

このギリシアの監督について 3作観てやっと分かってきたのですが、その諸作品のテーマはつねに、異常な「禁忌(きんき、タブー)」の設定と その破戒に対する厳格な処罰です。「聖なる鹿殺し」28点、「籠の中の乙女」73点、本作と 順に観ましたが、どれもこのパターンにのっとっている。

設定された社会や生活は一見変わったところがないが、そこには特有の禁忌が張り巡らされており、それをどれも破らないことは 現実にかなりの困難を要する。もし禁忌を破った場合(ものがたり上、当然に破りますが)、ふつうの常識ではありえない罰が科される。あと、‘不穏’ と‘残酷’ が お決まりのスパイスです。いまのところ、ボカシ時間がいちばん長かった「籠の中の乙女」を、未見のひとには おすすめします。

でもね、彼の映画を観終えて現実生活に戻ったときに ふと思う。これ(いま自分の置かれた状況)は果たして ほんとうに正常で健全な生活や考え方なのかと、不安がよぎる。彼が映画で指し示したような、たんに 外圧から慣らされたもの、ひとまねに過ぎないものではないのかと。すこし空間がゆがむ感じがする。自発性、想像力はちゃんと機能しているのかと。ちょっと気持ちが落ちつかない。

ああ 例の45日間ですか? わたしはそんなに要らないなあ。そこでは自発性がフル回転しますから。
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