SetsukoAzuma

この世界の片隅にのSetsukoAzumaのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.7
周りで絶賛の声しか聞こえないので、やっと行きました!
丸の内東映に滑り込みセーフでレディースデイに(笑)

かなりのロングランですが、結構入ってます。
週末はまだ満席近くになるんじゃないでしょうか。

戦前から広島に原爆が落とされて終戦までの日本を一般のほんとに普通の女の子の生活から描いた作品。

主人公のすずが戦時下でも、マイペースで空襲が来てるのに、それを観て絵が書きたくなってしまったりするくらいの超マイペースさに、たまに早く!と観てる側が焦るくらいなんですが、呉の田舎町ののどかな風景と彼女ののんびりさが相まって、戦時中の話とは思えないくらい平和な気分になりました。

でもでも、もう広島と長崎がどうなるかを知ってる我々としては、こんな平和に日常を過ごしている人たちが巻き込まれるのか、という不安を抱えながら、すずが幸せそうにただのんびりと過ごしているのを観て、逆に戦争の非道さを感じてしまう映画です。

何より、日常のすばらしさや小さな幸せに気が付きます。

少女のころから大人になって、会ったことを覚えてもいない人に嫁入りし、そこで大事にされて平和に主婦生活を送っている主人公すず。

いじめられてもあまりへこたれもせず、寂しがるわけでもなく、言われたものを素直に受け止めて、嫁いだ先の旦那も優しくするから自然に好きになって、食料難でも何とか食料を多く演出しようと工夫してみたりして、状況を悲観したりしない。

ありのままを受け止めて、どこまでも自然体のすずの、よく考えたら全然普通じゃない平凡さが私が一番印象に残った点です。
こういう性格が羨ましい。

弱そうで超精神的にタフ。
たぶんどこでも生きていけるのはこういう人なんじゃないかなあ。

声優の”のん”の声がぴったりでこれまた驚きました。
広島弁が耳に心地良かった。