教授

この世界の片隅にの教授のレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
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なんて言ったらいいだろう。
描いているものに対してのバランスが絶妙な映画、ということだと思う。
前半から後半にかけて。
戦前から戦後にかけての変化。そしてこれがほんの数年で劇的に変わる景色の変化だということを実にさりげなく描いてみせる。
つまり、ここで、描くべきことはしっかりと画だけで成立させている。
風景や昆虫の使い方だけで物語にしている。
のんが演じるすずさんも。現代っぽい雰囲気とその当時らしき雰囲気とを絶妙なバランスで演じている。
これはすべてが、バランスの勝利とも言える。ナレーションの語調も少しずつシリアスなものになっていく。
初夜の夫婦の営みや、初恋とその終わりの描き方なんかも生々しくならずに激しく、そしてシビアにも描いている。

映画や、アニメという表現の中でできることを存分に発揮して、かつ、そのメッセージ性というものも、シンプルに力強く表現できてしまっているので。
文句がつけられなかった。
当然だけど、号泣した。
でもちゃんと理解したいので次は冷静に観てみる。
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