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この世界の片隅にのtakのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.3
「あの花」や宮崎駿の「風立ちぬ」が世に出た時に、こういう話は何もアニメでは やらんでも…と多くの人が言った。
高畑勲の「かぐや姫の物語」が世に出た時に、アニメだからこういうことができたと言った。

実写でも「この世界の片隅に」を映像化することはできただろう。
しかし、アニメだからこそ伝わる情緒や激しさ、再現できる風景がこの作品にはあるし、
僕らは登場人物たちに身近な人のような思い入れを抱くことができる。

それだけに、この人たちが生きる戦争の悲惨さを思い知ることになる。
そして何よりも、悲惨な現実や実写では目を背けたくなるような描写をも僕らは受け入れることができる。
それはアニメだったから。

「火垂るの墓」がキツくて観られない…という人にもこの作品はきっと心に届くはず。
厳しい現実はあるけれど、それでも日常はある。ちょっとしたファンタジー要素と、
こうの史代の温かみのあるキャラクターたち。

ボイスキャストも素晴らしい仕事。
クラウドファンディングで製作費が集められたという事実も、現実世界も捨てたもんじゃないな、って気持ちにさせる。
責められるべきは、出演者の事務所トラブルばかりを報道して、作品に触れようともしなかったマスコミだろう。

キネ旬1位は納得です。
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