かっつ

この世界の片隅にのかっつのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
3.0
終戦記念日、苦手だけどアニメ観てみようと挑戦!

自分の中での広島=「ひろしま美術館」!西洋絵画ファンからすると日本有数の美術館だよね。コンパクトの中に選りすぐりの作品を集めているという意味では、個人的には最強の美術館!そこの美術館の目玉がゴッホ最後の作品と言われる『ドービニーの庭』。浮世絵好きのゴッホ、広島とも縁があるのかもしれませんね。

だからこそ、すず=ゴッホ説を打ち上げたいなと。腕を失ったすず=耳を失ったゴッホ。いや、クライマックスの絵が完全にゴッホ「星月夜」になってましからね。ターナーばりの水彩画で先輩をオトした頃とは打って変わって、不安定な心情が表れたのか、あの「星月夜」はハッと心打たれる描写でした。



…とか思いながら見てたけど、やっぱこの説無理だわ。その後が全然違うよね。ゴッホみたいに自殺するんでもなく、強く強く生き抜いちゃうんだもんね。ゴッホが手を失ったら、世界の片隅にも存在価値を見出せなかったかもしれないけど、すずは違ったね。その強さ・健気な姿に心を打たれる人が多くいることは容易に想像できますわ。日常、家族、生きることの素晴らしさを、戦争という題材の中で逆説的に真正面から描いた、まさに「人間賛歌」といった作品でした。



……ただね、ダメなんすよ。僕みたいなルーザー負け犬ロリペドクソ野郎には、あんな強く生き抜く人は眩しすぎるんすよ。せめて、弱い弱い人間がやられてやられて、最後になんとかかんとかグッドエンド!または、ほんのチョッピリやり返したけどグッドエンドなんだかバッドエンドなんだか判断できない、人生ってこんなもんよね。これしか共感できねーんすよ。すずちゃん強すぎて草も生えないわ。序盤から我慢の連続でも笑顔笑顔!終盤にかけて流石におっとりすずちゃんもしんどそうだったけど、やっぱ強かったもんね。昔の人ってみんなそんなに強かったんかもしれねーけど。

つーわけでごめんね、泣けなくて!映画自体はステキだったと思うよ!たぶん!でもアニメだからかな?共感できないヤツもいるんだって知ってくれよって軋むベッドの上で盗んだバイクで走りたい気分になっていた15の夜でした。8月のね。
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