エクストリームマン

ターボキッドのエクストリームマンのレビュー・感想・評価

ターボキッド(2015年製作の映画)
5.0
最高かよ!!!

人を大いに選びそうな映画だけど、これはアリ!『デスレース2000』とか『26世紀青年(Idiocracy)』とか好きなら絶対楽しい。いや、好きじゃなくても楽しい筈!物凄い低予算で、そりゃチープな場面も多々あるけど、それがただチープなんじゃなくて、しっかりと笑いに転化されていたり、「設定故に」という作品内のロジックにハマっていたりして、実は細部にまでしっかり気が配ってあるところが素晴らしい。製作者達の愛が凄い。

宣伝でも言われていた通り、確かに『マッドマックス』感というか、ある意味リアルなポストアポカリプスモノの映画。核で人間の殆ど滅んだら、そりゃ技術も失われるしガソリンなんてないから車も走らないよね。じゃあ、BMXしか乗るものないよね!ね!

BMXでのチェイスは、アップとか細かくカット割った編集で疾走感出すこともできるけど、敢えて間に引きのカット入れることで絶妙な間抜けさを(どんな場面でも)入れてきていて、そこがわかっているなぁと思わせられるし笑える。音楽の80'感とかも映画にすごくマッチしていた。

移動手段がBMXとか、腕相撲とか、ユルユルなまま進んでいくのかと思いきや繰り出される過剰なバイオレンスもいい。エドガー・ライトっぽさある。腕が跳び、胴体は真っ二つになって宙を舞う!過剰な出血!意味不明なほど凝った処刑方法!観客が欲しがってるものみんな入ってる。あと、パラソルの使い方はフレッシュでよかったね。

登場人物のキャラ立ちっぷりもすごくいい。主人公はジェシー・アイゼンバーグ感あって、絶妙なダメな感じの見た目と、ここぞという時の目の感じがいいね。ヒロインのアップルもいい味出してたなぁ。終始あのヤバイ眼なのがいい。あのズレた感じもしっかり伏線になってて、そこが凄かった。宿敵:ゼウスの存在感の重厚さ、敵の仮面した死神的キャラのMADな感じもみんないい。とにかく、みんなフィギュア化したらかなり映えそうっていうくらいビジュアル的にもしっかりキャラ立ってる。

低予算でも面白くて愛に溢れた映画を作れることを証明してくれてるし、しかも面白くて、SF映画としてもちゃんと成立させている点に非常に好感が持てる。限定上映なのがもったいない!