酷い。
「演劇的な映画」というのは数あるが、ここまで「観ていて舞台の情景しか浮かばない映画」は観たことがない(強いていうなら『シカゴ』?)。全てのカット割、キャメラワークが全く無駄なもののように思える。なぜ舞台ではなく、映画にしたのか、全く理解出来ない。
個人的に「金魚」から女性的なエロチシズムを感じたことがないので、これは小説に留めておくべきであって、映像化するべきではないと感じた。小説ならいくらでも妄想ができ、個々の頭の中で、あいまいな形の「赤子」を浮かべることが出来るのだが、これを映像にしたら、途端に駄目になってしまうという訳だ。
なので、いくら二階堂ふみが綺麗なお尻やおっぱいを見せても、金魚という前提を無理矢理設けたあとなので、結果的に何も面白くはない。
さて、そんなかねてから評判の二階堂ふみについてだが、本作についていえば、彼女の自分大好きっぷりが炸裂し、非常に不愉快だった。しかも、ただただ大きな声を出すばかりで、実は何も巧くないことが分かってしまった。今まで二階堂ふみのファンだっただけに、これは極めて残念である。
むしろ、大杉漣や真木よう子の安心して見れる確かな演技に感心してしまったほどだ。