SANKOU

ぼくの伯父さんのSANKOUのネタバレレビュー・内容・結末

ぼくの伯父さん(1958年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

ジャック・タチ演じるユニークなユロ氏は、寡黙で思ったことをほとんど口にしない。
彼の行動は全く意味不明ではないのだが、何故その行動に興味を持ったのか動機が分かりづらい。
一言でいえばかなりの変人だ。

これはそんなユロ氏と甥っ子のジェラールの交流を描いた物語。
ストーリーはシンプルなのだが、脈絡のないシーンが多いのと、説明的な台詞が少ないため、何とも掴みどころのない作品になっている。
古典的なスラップスティックコメディの要素もあるが、今観ても色褪せないシュールな世界観が特徴だ。

ジェラールの家は豪邸だが、ハイテクなのかポンコツなのかイマイチ分からない凝った工夫がなされている。
彼の両親は勝手気ままな暮らしを送る叔父のユロ氏の面倒をみようと、あれこれ世話を焼く。
が、就職先を紹介しても、花嫁候補を紹介しても、悉くユロ氏はヘマをやらかし失敗する。
いちいち説明をするのは野暮だが、とにかくユロ氏のバタバタぶりがシンプルにおかしい。
が、ユロ氏に限らずこの作品に登場する人物は皆どこか変だ。
一番変なのは見た目がグロテスクな魚の噴水だと思ったが。

最終的にユロ氏は地方の工場へ飛ばされる。
別れを惜しむ人も多く、ユロ氏は何だかんだで愛されていたことが分かる。
社会に溶け込むのが苦手なだけで排除しようとする文明社会への皮肉とも取れる作品だった。

人影が移動することで、まるで丸窓が人の目のように見えるシーンはあまりにも有名。
そしてやっぱりユロ氏の挙動不審ぶりはMr.ビーンに影響を与えているのだと感じた。
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