netfilms

バーフバリ 伝説誕生のnetfilmsのレビュー・感想・評価

バーフバリ 伝説誕生(2015年製作の映画)
3.8
 大きなうねりを見せる滝の河口付近、女は赤児を抱きかかえながら激流の周りで右往左往している。追手らしき人物が2人、片手しか使えない女を嘲笑うように挟み撃ちするが、彼女の崇高な武器は追手を駆逐する。しかし彼女の身体は濁流に呑み込まれてしまうのだが、信じられないことに彼女は赤児が溺れないように、片腕を天に振りかざす。どのくらい時間が経っただろうか、村人たちは赤児の声がする方を見ると、片腕を天に振りかざした女の腕が見える。赤児を助けろ!!村人は無我夢中で赤児を抱きかかえ、沖へと運ぶ。これがバーフバリ伝説誕生の始まりとなる。古代インドの大国マヒシュマティ王国の女性シヴァガミ(ラムヤ・クリシュナ)に大事に抱えられた男の子は、村長の妻サンガ(ロヒニ)に「シヴドゥ」と名付けられ、自分の息子として育てられる。25年後、シヴドゥ(プラバース)は逞しい青年に成長するが、成長と共に滝の上の世界に興味を抱くようになり、毎日滝をよじ登ろうと試みていた。滝の上の世界と下とを分ける境界線、代母は息子に行ってはならないとたしなめるが、偶然河口付近で拾った木の仮面が青年を魅了する。アヴァンティカ(タマンナー)との出会いの場面は、ファンタジーともラブストーリーともつかない真に魅惑的な瞬間で主人公を幻惑する。

 インド国内で最高額の予算で製作された本作は公開直後から高い評価を受け、インドの歴代興行収入最高額を記録した。何と言っても度肝抜かれるのはその歴史物語の壮大さとスケールのデカい展開、そしてハリウッド映画を凌駕するような予測も付かないスペクタクルの数々である。アヴァンティカに導かれるように滝を登ったシヴドゥが騙しながら描く求愛のタトゥ、大雪崩を回避する急ごしらえのソリ、『スター・ウォーズ』シリーズのような血族にまつわる壮大な因縁。やがて物語は曰くありげなカッタッパ(サティヤラージ)に導かれるようにして、25年間鉄格子につながれた母親の存在を明らかにする。『母を訪ねて三千里』のような自分探しとも母親探しとも取れるような主人公のルーツ探しの旅は、突如、現代の世界から50年前のマヒシュマティ王国の建国の歴史に遡る。ヴィクラマデーヴァ王が急死し、時を同じくして王妃も病死する。後には生まれたばかりの王子バーフバリが残され、国務は王兄ビッジャラデーヴァの妃シヴァガミが代行することになった。ビッジャラデーヴァ(ナーサル)は息子バラーラデーヴァ(ラーナー・ダッグバーティ)を王位に就けるように提案するが、シヴァガミは「バーフバリとバラーラデーヴァのうち、より優れた者を王位に就ける」と宣言する。

 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と『300』のカタルシスを足して2で割ったようなスケールで描かれる苛烈なアクション。その熾烈な世継ぎ争いは、日本で言えば戦国時代のように我々を惹きつけてやまない。かくして歴史の濁流に巻き込まれた男はその運命に巻き込まれながら、新たな伝説を築かんとする。あらゆる映画ファンの度肝を抜くような壮大なアクションと荘厳な物語の融合により、バーフバリ伝説は海を越え、空前のヒットを記録している。
netfilms

netfilms