砂糖(糖質)が身体と精神に与える悪影響を監督自身が60日間の連続摂取で身をもって体現していくドキュメンタリーと、糖質と人類の関りの歴史を解説してくくだりを並行して描いてて、ポップな演出で分かりやすく伝わってきた。
糖質制限の是非は日本でも論争になってるね。自分としては、人類史において糖質を好き放題摂取できるようになったのがほんの最近のこと、血糖値を上げるホルモンがいくつも存在するのに下げるホルモンがインシュリンしか存在しないことを考えると、人間の体に糖質の大量摂取が追い付かないのは十分納得できるので賛成派。食品業界はこれを認めてしまうと商売がなりたたなくなるので、御用学者に資金提供して糖質と健康の因果関係をあいまいにしてるんだよね。作中でこの構造はタバコ業界と同じだと説明されるけど、タバコの方は禁煙策や増税によってだいぶ駆逐されてるように思える。
監督がコカ・コーラ商品が大量に売り込まれて不健康にされてるアボリジニを取材するくだりがあって、たしかに自分が9年前にケアンズ旅行でアボリジニの出し物を見たときみんな太って不健康な印象だったのが納得した。あとアメリカの取材で、マウンテンデューの飲みすぎでヤク中みたく歯がボロボロになった少年の抜歯治療をするシーンが怖い。感染症のせいで麻酔が効かないというのが恐ろしかったね。
本作の結論は糖質摂取の否定に収束するんだけど、これだけ現代社会に糖質が嗜好品として根付いている中、完全排除は難しいという側面も説明して一応バランスは取ってた。