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ロックスターのBaadのレビュー・感想・評価

ロックスター(2011年製作の映画)
4.3
インド映画201本目。ErosNow配信英語字幕にて。
最近JAIHOで日本語字幕付きで見直したので、再投稿。

これはスーフィー愛を土台に置いた芸道もの。恋愛映画の名手、Imtiyaz Ali監督の映画としてはちょっと変化球に見えますが、実はど真ん中ストレートの映画です。

ロックなんですが、スーフィー的なのはこの監督ならでは。
イスラム神秘主義系のカッワーリーとかヒンドゥー教系の宗教歌とかが芸道修行中に出てくるのがインドならでは。
最後にルーミーも出てくるのでイラン文学好きな人も見ると面白いかも。

ヒロインの名前が「ヒール」であるのにも注目。
音楽は主にA.R.ラフマーンですが、これはレベルが高い方。

ランビール・カプールは人気と映画ファミリーの出身の割には演技イマイチと思うことが多いんですが、この映画では気にならない。彼の特性を生かした演出です。口パクの上手さはリシ・カプールさん譲りで、自分で歌ってないのに不自然さを感じない。

全編これアフレコでもこれだけの音楽映画を撮れるんだということを世界中が知るべきだと思う。役者本人が歌っている伝記映画って引っかかる事が多いから。(ここ数年の映画では役者の声が邪魔にならなかったのは『ロケットマン』と『リスペクト』ぐらい。)

あと女優さんがものすごく美しいですが、アレゴリー的な愛を表現するためにはこれは必要な事なのかもしれません。世界の100人の美女に選ばれたことがあるナルギスとアディティが出演。

この映画でカシミール・パンディットの存在を知りましたが、昨今のきな臭い情勢ではしばらくはカシミールロケの映画は見られないんでしょうね。ロードムービーとしても美しいのでそういう意味でも必見の映画です。

話は取り止めがないですが、テーマがブレないのと、独特の映像で見せきっています。ただし、光に過敏な方は注意してみたほうがいいかも。

もしかして違うかもしれませんが、最初見た時、ニール・ダイアモンド主演の『ジャズ・シンガー』(1980)にすごく似ていると思いました。
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