一言感想……上質なサスペンスバトル映画。
・ときめいたシーン。
長回しで「ここに注意して観てね」と言わんばかりに部屋のギミックを見せびらかしていくシーンが地味に好き。
地下室でおじさんが電気落として、一気に泥棒側が瞳孔カッ開いてあたふたする中、扇風機や天井の梁を触って的確に現在地を把握するおじさんのタクティカルな動きの対比は最高の一言。
このシーンの絶望感もっと味わいたかった。
上記したような、あの手この手で力関係がガラッと変わるシーンが多く観られるが、それより気になったのは、展開が進むに連れて視聴者側の感じる「どちらを応援すべきか?」という善悪の基準が変動する箇所が多く、魅力的だった。
(最初)泥棒が悪い
→(マネーが死ぬ)おじさんが悪い
→(金盗む)泥棒悪い
→(女監禁そして…)おじさんサイテー
→(女、逃げ果せる。おじさん、世間公表せず)両者合意!?どっちも悪じゃん!
・強いていうなら残念なシーン。
泥棒の呼吸だけで場所特定出来たり、かと思えば思いっきり近くで話してるのに場所分からなかったり、おじさんの聴力がシーンによって変動し過ぎるのは不満点。あと、そんなにおじさんが予告編で期待したほど強くなかったのは残念。
トランクに閉じ込められた経験を活かして女が犬を閉じ込めるのはいいが、一瞬女のパンチで犬が可愛らしく怯んだのを観て「あれこれタイマンで勝てるんじゃね?そんな脅威じゃなくね?」って思ってしまった。
全体的におじさんや犬がそんな強そうに見えない。
女がおじさん倒すシーンは、まるでロック・リー対我愛羅みたいな構図で少し面白かった。
「神の不在を受け入れれば人は何でもできる」というおじさんの台詞が心に残った。
この映画は明確な善悪や力関係がないばかりか、誰かに肩入れするのでなく全体にフォーカスしてことの成り行きを描いているため、誰が生き残るのか最後まで全く分からなかった。
手に汗握る名作!