ひかる

映画 聲の形のひかるのレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
4.2
一言感想……贖罪の旅。

なんだかオシャレなOP(洋楽がBGMってだけの判断)からの怒涛の展開に次ぐ展開!
とにかく作品の抱える「他者とのコミュニケーション」ってテーマが重過ぎる!!
見応えのある映画でしたね、コイツは。

前半の小学生パートは観ててマジ辛いです。
合唱曲で使われそうな軽快なピアノがBGMになってましたが、画面上ではひたすら西宮さんがヒドい目に合ってる。
何これ、外はカリカリ、中はモチモチみたいな。音楽ポンポロ、画面ズタズタの歪さに不気味さを覚える。
まるで「イジメ楽しいぜ!!」と言わんばかりの描写。

野暮な不満店を言うとその後、主人公がイジメられる展開があんまりよく分からなかったです。
いや、まぁ、西宮さんが転校して、担任(コイツ全人類の敵)に分かりやすく全責任負わされてましたけどね?
でもそれだけでスクールカーストの上位者があんなに結託してイジメられるもんかなぁ、とか思ったり。

で、主人公が西宮さんと友達になろうとするんですが、その行為を単なる改心とするのではなく「結局それって主人公のオナニーなんじゃねーの?」って突きつける展開がまた良かったですね。
単なる偽善奨励にするんじゃなく、悩み抜いて答えを出す、というのが。

何が一番響いたかって、上野が西宮さんに「バカ」と手話で示すシーンが凄く良かった。
あの時の西宮さんの凄く嬉しそうな表情。
内容は侮辱ではあるものの、あの上野が西宮さんに目線を合わせる努力をしたのです!!
小学生時代はもちろん、観覧車でも「ノートを書かない」ことで西宮さんの目線に配慮せず、言いたいことだけ言いっぱなしだった上野。
その上野が手話を覚えるなんて……(バカっていう一単語だけだろうけど)。

西宮さんの何が辛かったかって、イジメもそうなんですけど、もっと悩みの根はずっと深くて、つまりそれは「みんなと普通にコミュニケーションが取れない=自分を分かってもらえないこと」なんですよね。
だから必要以上に自分を責めちゃうし(すぐ謝ろうとする)、周りも分かってくれない。
小学生時代のアレはただのイジメと言うより、同じ対話のできる人間として扱われないがゆえの捻れたコミュニケーションなんですね。

だ か ら !!
あそこで上野の手話が生きてくるんですね。
もうあのシーンの西宮さんの反応で泣きそうになりました!!
西宮ちゃんもあんな感じで「バカ」ってずっと言い合いたかったよね。

で、あのバツマーク一気に剥がれる瞬間(=自分を許せた瞬間!!)でもう拍手ですよ。
それまで自分を嫌ってると思われてた相手に勝手に自分の中で「バツというレッテル」を貼ってたワケですが「そんなことねーんだ。俺はまだやり直せる」と言葉にしないまでも認めてあげられる強さ!
すなわち贖罪への到達。

素晴らしい映画でした!!
何が言いたいかってヒロインはビッグフレンド永束くん。
ひかる

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